平成五年


元旦や 隣の部屋の 笑ひ声    1月1日    久し振りなり
書初めや 孫の時々 顔のぞけ 2日    季語集全書スタート
座っては 又拭くガラスの 四日かな 4日    早や4日なり
寺妻の 愚痴聞く 庭の椿かな 23日    少林寺蝋梅
冬日和 叔母は卆寿の 幼な顔 29日    九幡の叔母は古里
節分や 琴を聞きつつ 普茶料理 2月3日    安禅寺 琴の大月
良寛の 心の臨書や 春の展 7日    宮地君出展す
亡き人に 奉ぐ経書す 春日和 11日    名古屋水野訃報
不自由な 老女の笑みや 春うらら 13日    滋恩精舎阿部夫人
信仰で 又来る春を 約しけり 16日    細川は精気なし
寝つかれず 又摺る墨の 春寒し 19日    歳時記冬の部書
脚重く 顔に古刹の 春の雨  3月2日〜3日    大根島 清水寺
木彫りの手 休めて仰ぐ 月おぼろ 6日    木彫りのヤスリ購入
シャンソンを 聞きつ芽吹くや 川柳 20日    倉敷ホテル
水ぬるむ 群れを解きたる 池の鯉 22日    自宅
禁煙を やめて春風邪 抜けにけり 24日     〃
春寂し 下の最後の歯を 抜かれ 31日    滝歯科
孫少し 恥ずかし春の 露天風呂 4月2日    洋子と湯原温泉
孫を待つ 春の句作の 箸袋 〃       〃
人気なき 小島に霞む 鳥居かな 4日    小豆島
山ざくら 小雨に煙る 瀬戸の夕 〃       〃
禅寺の 花影濃ゆき 池の蒼 6日    曹源寺しだれ桜
意欲なき 仕事引継ぐ 春寂し 8日    写真会事務引き継ぐ
抜き書きの 俳句に春の 睡魔来し 11日    友との往来句書す
中国を 飲茶にしのぶ 花見かな 12日    小鳥の森
ざわめきに 醍醐ざくらの 雄姿かな 13日    落合醍醐桜散る
駆けてゆく 赤い靴下 花ぼこり 17日    後楽園桜散る
ブーゲンビリヤ 卆寿の画家の 描きつづけ  28日    野平上 光風会展
里の寺 菜飯に母を 偲びけり 〃     豆腐の会糸賀夫妻
忘れ得ぬ 句を讃えられ 春日和 30日    初心の句受賞
座禅草 鉄の衣に 身をすくめ 5月8日    森林公園
沼青葉 氣根羅漢の 睨み合ふ 11日    半田山植物園
霊峰に 曙躑躅 攻め上る 12日〜14日    四瓶ヶ森撮影会
高速路 右も左も 竹の秋 16日    フラワーセンターより 石佛
朝曇り 更衣戻して 空を見る 17日    自宅
夏めくや 街ゆく乙女の 脚細し 〃      〃
カラオケに 偲ぶ女傑や 薄暑の夜 18日    松本女史偲ぶカラオケ
旧友の 若やぐ宵や 残り花 20日    竹馬の女友来訪
完成の 魚板に薄暑 暮れにけり 30日    魚板完成す
けしの花 茜の水田を 揺らしをり 6月1日    賀陽町
筍や 里の土産の 大袋 〃       〃
己が脚 岩湯に白き 梅雨の宿 7日    郷緑の湯
腕の蚊を 吹いて又書す 句集かな 15日    自宅
古戦場の 欠けし宝塔 風みどり 17日    藤戸寺
麗しき 女を背で見る 夏の展 19日    天満屋
木洩れ陽の 条なす森や 夏の霧 20日    高橋松原
梅雨の橋 勤めし街は 靄の中 22日    自宅
古代蓮 雲の重さに 半開き 25日    RSKバラ園
冷やし麺 昔のままの 主の味 26日    自宅
梅雨の靄 夢幻に誘ふ 黄のライン 28日〜29日    津和野、萩
神々の 悩みの音か 細き滝 〃       〃
滝は霧を 集めて運ぶ コンベヤー 〃       〃
木下闇 睨む巨大な 魚板の目 〃       〃
北海道に野草を尋ねて
夏の嶽 夕日仄かに 雪の谿 7月2日〜9日      〃  秋田島海山付近
蕉翁と 同じ夕焼けの 海を見る 〃       〃     〃
夏ひと日 走車の記録 1200粁 〃       〃  青森着
間違へる 下着の表裏 夏夜明け  〃       〃  函館着
ブレーキ踏む 妻の歓声 すかし百合 〃       〃  オロレフ峠
隋道より 吹きい出したる 夏の霧 〃       〃    〃
夏霧の 蘇へらさん 枯れ樹林 〃       〃    〃
バス着けば 老孤手を上ぐ 夏の夕 〃       〃  登別
三人の 昼寝の老女に 鳴るテレビ 〃       〃   〃
谷を撮る 妻は夏草 採る峠 〃       〃  日勝峠
踏み切りは 小石ばかりや 野甘草 〃       〃  帯広
味の濃き ソフトクリーム 蝦夷の国 〃       〃   〃
蝦夷の国 何処の道にも 巨大蕗 〃       〃   〃
緑陰に 試歩完遂の 4千歩 〃       〃  釧路湿原
夏の霧 寝息うかがひ 撮る窓辺 〃       〃  釧路
草原の 望楼望む 夏渚 〃       〃  霧多布
湿原に 走るロードの 夏の線 〃       〃   〃
炎天に 食欲盛んな 牛の群れ 〃       〃  厚木
選挙カー 牛に呼びかけ 旱り中 〃       〃   〃
夏の原 原始の姿の 枯れ木立ち 〃       〃  ヤシャベツ湿原
粛酒なる 旱る家並の 漁村かな 〃       〃  別海
残雪に みどりと鶯 蝦夷の国 〃       〃  知床岬
夏草採り 壁蝨に好かれて 猶止まず 〃       〃  層雲峡
旅疲れ 沸暁一発 暑氣あたり 〃       〃   〃
初船旅 散歩許さぬ 夏の腹 〃       〃  小樽発フェリー
年寄りの 走る冷や水 三千粁 〃       〃  帰宅
           -了-
渋滞の 道に連なる 金鶏菊 22日    生駒山
コンクリートの 柱にすがる 街の蝉 〃       〃
きこきこと 歩く青田の 鷺の列 〃       〃
ほととぎす 鳴きゆく先の 磨崖佛 〃       〃
レッカー車 待つ時折の 風涼し 29日    赤穂岬(岩井新吉)
信濃路や 車音に絡む 蝉しぐれ 8月4日〜8日    信濃路へ
石段の 夏をほんわり 光り苔 〃       〃  光前寺
信濃路の 溜りに写す 夏の嶽 〃       〃  駒ケ岳
驟雨の宿 寝息うかがい 夜明け前 〃       〃  馬篭宿
八月や 梅雨前線の 去らぬ嶽 〃       〃 
雲海を 駆け抜け拝む 御来光 〃       〃
孫を呼ぶ 声に応へし 蝉しぐれ 11日    砂川公園
下半身 麻酔に消えゆく 秋思かな 22日〜9月7日    痔にて回生病院へ 24日手術
秋の咳 患部に響く 手術あと 〃       〃
看護婦に ドライブ自慢の 秋夜更け        〃
秋思かや 闇の病室 屁の一発 〃       〃
痔を切りし 秋の恐怖や 最初の便 〃       〃
活発な 声が薬の 秋の午後 〃       〃    糸賀英憲来院
病床の 窓に茜の いわし雲 〃       〃
病室を 秋繭とせし 我身かな 〃       〃
さはやかに 政治家婦人の 見舞いかな 〃       〃    江田光子、怜子来院
秋惜しむ 退院日程 たがひなし 〃       〃     退院
露天風呂 石の河原に 鳴くちちろ 9月22日〜24日    足関、山陰
赤とんぼ 飛んでは戻る まがきかな 〃       〃
巻雲に 半月淡き 嶽の径 〃       〃
雲海や 友の作りし 握り飯 10月9日    長丸の日の出
信濃路へ 車は翔る 天高し 12日〜16日    中房、来鞍他
秋はゆく 旅のはじめの スピード違反 〃       〃
露天風呂 素肌に 紅葉の陰動く 〃       〃
歓声を あげて芝栗 拾ひをり 〃       〃
嶽紅葉 朝日恥ずかし 湯舟かな 〃       〃
ダム二つ 超えて名代の 信濃そば 〃       〃
薄髪に 帽子買ひけり 街は秋 26日    帽子を買う
黄の落葉 拾はんとして 逃げにけり 29日〜11月2日    三朝津黒東郷
徑端の 野菊の花や 安穂陵 〃       〃
又叩く 冬衣のポケット 車の鍵 〃       〃
散って猶 新たな場所に 紅葉燃え 〃       〃
人も馬も 日ねもす馬車曳き 秋はゆく 〃       〃
谿底の 徑に紅葉を 透かし撮る 〃     三朝小鹿渓谷
御歳暮の 皿求て出来し 蝦グラタン 12月8日    谷浄より グラタン皿
初霜に 中古車新車と なりにけり 9日    初霜
変らざる 歳暮に変らぬ 人思ふ 11日    歳暮
鷺住める 廃船墓場に 風寒し 23日〜25日    江田島


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