平成十五年
数へ日に 誕生祝ふ 夫婦かな | 1月 | 湖葉会 定例会 |
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数へ日の 誕生祝ひ 小豆島 | 〃 | |
猫呼べば 眠る炬燵に 尾の動く | 〃 | |
初電話 三っ違えば 老女かな | 〃 | |
卒中に 七草粥の 効けよかし | 〃 | |
荷を引くも リハビリならむ 空つ風 | 〃 | |
地下街を 行き交ふ小春 写真展 | 〃 | |
新雪を 行きつ戻りつ 登校の子 | 〃 | |
朝靄の 焚火賑はふ 田舎寺 | 〃 | |
雪女 出るに出られぬ 日ざしかな | 〃 | |
年重ね 出るに出られぬ 雪女 | 〃 | |
雪女 以前出し歳 忘れけり | 〃 | |
老いしまま 出るに出られぬ 雪女 | 〃 | |
栄養の 不足で老いし 雪女 | 〃 | |
吾庭に 蝋梅はなやぐ 雨意の雲 | 2月 | 湖葉会 定例会 |
掻巻を やっと探しぬ 田舎町 | 〃 | |
槌音の 部屋に帰れず 日足のぶ | 〃 | |
冬晴や 喜寿の思ひの チャップリン | 〃 | |
豆まきの 豆はなけれど 鬼は外 | 〃 | |
寒明や 下着一枚 増やしけり | 〃 | |
巻寿司を かじりて笑ふ 恵方かな | 〃 | |
健やかな 時の蝋梅 写真展 | 〃 | |
蝋梅や そぞち歩みし 丘の園 | 〃 | |
茅葺の 氷柱の雫 しかと撮る | 〃 | |
約束の 時間の来たり 外は雪 | 〃 | |
長恨歌 書す祇王忌の 暮れにけり | 3月 | 湖葉会 定例会 |
早梅や 老いてロマンの 深まりぬ | 〃 | |
腐葉土に 思ひこめをり 種袋 | 〃 | |
春雨を 背に出品の 写真展 | 〃 | |
亡き人を 記す名簿や 月おぼろ | 〃 | |
春寒し 赤線ばかりの 名簿かな | 〃 | |
霾れど 喜寿の運転 確かなり | 〃 | |
標識の 黄砂に紛れ 赤切符 | 〃 | |
弟の 遺影を見つめ 星おぼろ | 〃 | |
愛ず人の 霾る尾根に 消えゆけり | 〃 | |
杉花粉 マスクの季語を 変えにけり | 〃 | |
寝姿の 十二単や 雪の岩 | 4月 | 湖葉会 定例会 |
春泥の 輝やく日ざし 恩原湖 | 〃 | |
春雪に 笹竹の陰 ゆらぎをり |
〃 | |
春雪や 狢の足跡 山に入る | 〃 | |
縮緬の 雪に林の 陰模様 | 〃 | |
ふる里の 裏屋うもりし 春の雪 | 〃 | |
マラソンの 霞に消ゆる 嶽の道 | 〃 | |
マラソンの 嶽香しく 草萌ゆる | 〃 | |
マラソンや 芽吹く若木を 眺めつつ | 〃 | |
のんびりと 白鳥一羽 流れをり | 〃 | |
雪柳 湖畔の老樹の 根じめかな | 〃 | |
渓流の 苔にはりつく 落葉かな | 〃 | |
老木は 倒れ若木の 四季ざくら | 〃 | |
白壁の 映えにし楷の 紅葉かな | 〃 | |
紅葉は 蛸怪獣の 大楓 | 〃 | |
岩山の 上の佛舎利 散る紅葉 | 〃 | |
七彩に 輝やく紅葉 見上げをり | 〃 | |
池端の 古刹の老樹 紅葉せり | 〃 | |
尋ね来て 廃れテントに 風薫る | 〃 | |
春泥の 木陰の彩を めでにけり | 〃 | |
さんしゅゆの 林輝やく 田舎寺 | 〃 | |
喜寿にして 行方定めぬ 春霞 | 〃 | |
斑雪 靄に朝日の 杉林 | 〃 | |
靄を連れ 迫る入江の 春一番 | 〃 | |
妻逝きて 自然に還る 花の園 | 〃 | |
四季ざくら 倒れ老婆の 菊作り | 〃 | |
風見鶏 鳩が数える 春の風 | 〃 | |
燈籠の 点る古刹の 夕紅葉 | 〃 | |
アベックの 素通りしたる 躑躅かな | 〃 | |
一本の 梅とり囲む ケアハウス | 〃 | |
廃屋と なりて幾歳 山ざくら | 〃 | |
春雨の 小枝をつたふ 雫かな | 〃 | |
溜池に 写るミモザを 揺る鯉 | 〃 | |
ともに咲く ミモザ躑躅と 山ざくら | 〃 | |
風薫る 畦につきない 話題かな | 〃 | |
カルストに 牛の食む音 夏霞 | 〃 | |
小池蔵に 遍路ほほえむ 一茶の碑 | 〃 | |
児島湾 日ざしのどかに 今昔 | 〃 | |
サッカーの 声どよめく 牡丹園 | 5月 | 湖葉会 定例会 |
一斉に 飛び翔つ鳩や 牡丹園 | 〃 | |
人まれに 藁屋の茶屋の 残り花 | 〃 | |
灯のこぶし 透して湖に 漂へり | 〃 | |
文化の日 棚田に老いの 若返る | 〃 | |
華やげる 日の出の丘の 残り花 | 〃 | |
一本の のぼり目だちぬ 山の里 | 〃 | |
枯れ松に 藤の衣装や 伯耆冨士 | 〃 | |
ちょっと觸れ あたり見まわあす 夏蜜柑 | 〃 | |
独り寝の 友となりけり 牛蛙 | 〃 | |
白樺の 若葉の林 朝の靄 | 〃 | |
石垣に ポーズの裸婦や 風みどり | 6月 | 湖葉会 定例会 |
ふる里の 納戸の風や 花石榴 | 〃 | |
パソコンで 碁石並べる 夜釣り中 | 〃 | |
CDを聴きつ 夜釣りの 明けにけり | 〃 | |
石竹の 前に老女の うずくまる | 〃 | |
五色石 入れて華やぐ 金魚鉢 | 〃 | |
石投げは 山の挨拶 河童橋 | 〃 | |
皐月晴れ 淀に走る 石の音 | 〃 | |
篆刻の 石粉吹きふき 明けやすし | 〃 | |
石蹴りの 記憶もどりぬ 緑陰 | 〃 | |
緑陰の 石段数へ つつ登る | 〃 | |
公約は 口約にして 涼し顔 | 7月 | 湖葉会 定例会 |
口寄せに 集ひて来たる 夏の夕 | 〃 | |
鶏口と なりし半生 雲の峯 | 〃 | |
朝靄に 香水ほのか 糊の口 | 〃 | |
蟻まどふ ベンチ木目の 深きかな | 〃 | |
夕焼けの 河口の魚網 鷺駈る | 〃 | |
老鶯と 粉ふ戯れ口 舞妓はん | 〃 | |
口明けの 様の夕日や 竹夫人 | 〃 | |
口うつし 犬と菓子喰う 花むしろ | 〃 | |
口書きを 取りし警部の 玉の汗 | 〃 | |
栄光は 蜉蝣のごと 半世紀 | 8月 | 湖葉会 定例会 |
蝉しぐれ 喜寿人生の さかりなり | 〃 | |
放中の 焼印目立つ 夏霞 | 〃 | |
友焼きし 壷の重さや 半夏生 | 〃 | |
焼き付きし 車の匂 星月夜 | 〃 | |
七夕の 写真焼き増す ケアハウス | 〃 | |
食欲の 秋は焼鳥 脳卒中 | 〃 | |
涙なき 焼き場の控え 盆狂言 | 〃 | |
礼状は ぶどうのお礼 師の笑顔 | 9月 | 湖葉会 定例会 |
礼砲を 忘れてゐたり 終戦忌 | 〃 | |
風あれば 群れを解きたる 赤とんぼ | 〃 | |
はんどるを 右に左に 赤とんぼ | 〃 | |
雲の波 浮きつ沈みつ 月笑ふ | 〃 | |
幼き日 尽きぬ思ひの 流れ星 | 〃 | |
若き日の 望おろおろ 流れ星 | 〃 | |
稲妻は 眼閉じをる 光かな | 〃 | |
真夜中に 目覚め句作の 残暑かな | 〃 | |
一本の 野菊かたむけ 玉露かな | 10月 | 湖葉会 定例会 |
秋霖や 伏目の観音 笑むごとし | 〃 | |
ほろ酔ひの ビルのガレージ 残る虫 | 〃 | |
車椅子 カメラを乗せて 秋の薔薇 | 〃 | |
子を脚に かかえペンギン ブリザード | 〃 | |
子育ての 皇帝ペンギン 冷まじく | 〃 | |
オランダの 庭にほんのり 泡立草 | 〃 | |
卒中の 脚にからまる 夕すすき | 〃 | |
はざ うっすらと 稲架に浮いたる 伯耆冨士 |
〃 | |
リハビリの 明け暮れ続く 神無月 | 11月 | 湖葉会 定例会 |
神ばかり 一畑電鉄 破産せり | 〃 | |
秋の展 図りて独り 笑ひかな | 〃 | |
税金を 喰ひて勲章 もらひをり | 〃 | |
冬用意 買ひしズボンの ややうすし | 〃 | |
掌にとりし 熟柿をもどす 血糖値 | 〃 | |
虫喰ひの 柿の落葉を めでにけり | 〃 | |
紅葉狩り 庭のどうだん つつじかな | 〃 | |
すこやかに 駈けし記憶や 林檎の香 | 〃 | |
尾根幾重 流るる霧や キャンプカー | 〃 | |
受給者の 勤労感謝の 吉備津宮 | 12月 | 湖葉会 定例会 |
同期会へ メイク手伝ふ 小春かな | 〃 | |
過ぎし日の 夢にこだはり 時雨けり | 〃 | |
句の出来ず 今年最後の 紅葉狩り | 〃 | |
断崖を 見上げ毘沙門 時雨けり | 〃 | |
モンゴルの 横綱負けし 冬の場所 | 〃 | |
終焉と なりし桜の 紅葉かな | 〃 | |
体調は 日々善悪の 時雨かな | 〃 | |
友逝きて 老いらくの恋 凍てにけり | 〃 | |
歳末の 忌中のあいさつ 日々に増え | 〃 |
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