平成七年


リハビリや 友元旦の 宮詣り    1月1日    柴田守男氏
鳴りやまぬ 地震報道 寒の月 17日    兵庫地震
師は卆寿 生徒は古希の 掘り炬燵  20日    友と恩師を訪ふ
大寒や 料理とりどり 卆寿の師 〃       〃
春の海 お尻並べて 揺れてをり   2月15日〜17日    豊後の霧氷
船ゆれる 尻も揺れてる 春の海 〃       〃
豊後路の 入陽の干潟 春浅し 〃       〃
眼薬を 差せば寒月 宿の屋根 〃       〃
如月の 月にカメラを 向けてをり 〃       〃
早春の 船音ひびく 二本松 〃       〃
南国の 温泉嶽の 霧氷かな 〃       〃
春雪の 峰の蒸気に 照る朝日 〃       〃
嶽下り 関門海峡 春日ざし 〃       〃
鴨鍋に 句作の明かり 深まりぬ 22日    湯の瀬
白鳥の 飛び翔つ行方 見つめをり 〃       〃
たたずめば 探しあぐねし 犬ふぐり 〃       〃
猫柳 ふと童謡を 口ずさむ 〃       〃
妻の声 隣に聞こゆ 啓蟄日   3月6日    自宅
時代雛 飾りて囲む 普茶料理 9日    豆腐の会
芽柳に 繋がれ時待つ 高瀬舟 11日    建部の森
弟の 病に春巻き 利けよかし 23日    中国料理菜鳳
瀬戸大橋 ハープの歌ふ 春の唄 28日〜30日    室戸方面
春眠の 無職四年の 心地かな 4月12日    11時目覚め
萬作と 雲を撮りをり 渓の谷    森林公園 
囀りに 見上げる岩の 蒼さかな 〃       〃   
鷺かもめ 陰舞ふ春の 自衛艦 20日    丹後半島
股のぞき する人のぞく 春の丘 〃       〃
丹後路や 舟屋の春の 網模様 〃       〃
断崖を 鳶すり上がる 春の海 〃       〃
山兎 振り向き躑躅に 飛びこめり 28日    貝殻山
即興の 和洋合奏 春うらら 29日    大月宗明コンサート
寺一面 和尚の描きし 春の猫 5月2日    金山寺
春雨や ビニール掛けし 寺の屋根 〃       〃
風青葉 刺繍の源氏 物語 〃       〃
若僧を 囲む老女や 余花の庫裡 〃       〃
老い独り 犬とカメラの 牡丹苑 5月5日    吉備津神社
牡丹苑 年金族の カメラマン 〃       〃
風光る 池すれすれの 老いし松 〃       〃
筍の 料理に竹の 散り初めし 6日    豆腐の会 夜宴す
筍の どんと突き立つ 村おこし 〃       〃
渓谷に 浄土あるごと 藤の彩 12日    鬼ヶ嶽
照明に くらげ乱舞 無重力 17日    姫路手柄山
ドラの音に プールの亀の 集ひけり 〃       〃
更衣へ 伸びしボタンを確かめる 19日    自宅
川原ゆく 白き日傘の 白帽子 20日    後楽園
風薫る 影を残して 鷺翔てり 〃       〃
名画見し 後の小さき 雨の薔薇 22日    二科展
四国路や にはか旅装に 風薫 〃     剣山
崖崩れ 若葉の嶽の 廻りみち 〃       〃
枝垂れし 老樹若葉の 剣山  〃       〃
嶽青葉 空に消えゆく ガードレール 〃       〃
断崖を 覆ひし藤の 輝けり  〃       〃
鳶谷に 遠く鳴き合ふ 夕薄暑 〃       〃
頂に 若葉の映ゆる 崖の蒼 〃       〃
風薫る 手作りウエディングドレス撮る 6月12日    国塩娘 ドレス展
紫陽花の 花の蛙や 美術館 15日    倉敷美術館モネ展
照明に 浮かびしモネの 睡蓮花 〃       〃
シャガールの 夢拡がる 梅雨の靄 16日    三原 シャガール展
走り梅雨 消えゆく園の 庭たずみ 19日〜20日    宮島
ロープウェー 樹々のみどりを すり上がる 〃      〃
風薫る 岩に古拙の 古代文字 〃      〃
ほととぎす 鳴くまねをして 島の旅 〃      〃
老松の 君主の茶室 水琴窟 〃      〃
石庭は 中国風や 午草  〃      〃
苔の花 まだらに雪舟 筆の塚 〃      〃
風鈴の 梅雨明けつげる 市電かな 7月1日    ロイヤルホテル
緑陰の 石を佛と 拝み撮る 2日〜3日    宇和島由良半島
滝津瀬に 妻の岩魚を 受け止めし 〃       〃
夕焼けの 雲漫才してをり 島の上 〃       〃
夕焼けて 落輝子島を 燃えつくし 〃       〃
香りなき 蚊取りに落ちし 蚊のあはれ 〃       〃
木下闇 タイヤ踏みゆく 杉小枝 〃       〃
鬼百合の 径は岬へ 黒揚羽 〃       〃
若者の 眼と汗光る 吹きガラス 〃       〃
吹きガラス 汗にまみれて 村おこし 〃       〃
捨てられし 魚網に緑の 草の生え 17日〜19日    長門下関    
烏帽子岩 鳶の子育て 海は藍 〃       〃
夏蜜柑の 原樹育てし 二百年 〃       〃
山百合の 揺れて鯨の 水子墓 〃       〃
残月に 蜻蛉群れをる 朝湯かな 〃       〃
芝千里 長門岬の 風涼し 〃       〃
日本海 里の棚田の 未草  〃       〃
村おこし 楊貴妃墓の 月見草 〃       〃
浪寄せて 潮吹き上げる 丘の百合 〃       〃
はまゆふに 夕潮風の 下関 〃       〃
噴水に 人それぞれの 影を撮る 〃       〃
踏み石に 琴の音響く 木下闇 〃       〃
鯉を気にせぬ河骨の 意固地かな 〃       〃
ドライブの 帰路の昼寝や 二度三度 〃       〃
屋台の子 花火の音に 目覚めけり 29日    旭川花火大会     
大花火 線香花火の 娘を憶ふ 〃       〃
息を止め 消えゆく線香花火見し 〃       〃
光より 音にときめく 花火かな 〃       〃
連発の 花火に変る 頬の彩 〃       〃
夏の湖 白鳥知らぬ 顔をして 31日    まきばの館
干されても 触れれば香る ラベンダー 〃       〃
花店の 葦簀の陰に 足を向け 〃       〃
駆ける子を 眺め木陰の チョコアイス 〃       〃
一本の 扇子に書せし 句の百句 8月5日      〃
滝しぶき 釣り人岩の ごとく座す 6日    湯本温泉
渓流の 朽ちし巨木の 糸蜻蛉 〃       〃
秋の潮 待つ亀岩や 宮の浜 27日    岡山市地図作り
稲雀 丘に平家の 祠かな 〃       〃
芳名簿 確かめてをり 秋書展 9月9日    展に友来てをり
名月や イラクの舞姫 石に彫る 10日    古代文化シリーズ
風木立ち 籔蘭群れし 女軍墓 17日    常山
古戦場 芒のなぞる 岩の肌 〃      〃
原発や 朝日に染まる 鰯雲 18日〜20日    佐田岬
稲掛や 農婦一人の 千枚田 〃       〃
石積みに 光る秋風 千枚田 〃       〃
木堂の 邸の巨岩や 杜鵑草 10月10日    木堂邸
木漏れ日の 石の祠や 柿の彩 〃       〃
泡立草 朝日に得たり 市民権 22日    剣山探紅葉
ぶなの森 巨木にからむ 蔦紅葉 〃       〃
ゆるやかに 靄来ては去る 峡紅葉 〃       〃
五本櫛 なでおろしたる 木の葉髪 30日    自宅
悴みて 出不精の 鼻ほぜりをり 〃      〃
夫は木彫り 妻は造花の 小春かな 11月5日    寺尾氏宅
立冬の 蝦夷の島々 波猛し 10日    テレビ放映に
妹の 叱言聞きをり 十二月 〃     上田写真館 大山
篆刻に こもり時雨るる 旅の後 14日    自宅 
狂言の 板踏む余韻 冬に入る 15日    笠岡歌舞伎
冬麗や 出口気づかぬ 高速路 〃       〃
法螺貝の 列なし御音響く 神の留守 16日    京都の紅葉
山寺に 貼るポスターは 七五三 〃       〃
高楼の 人それぞれの 秋の彩 〃       〃
落葉掃く 猛けし庭師の 土を這ふ 〃       〃
緋毛氈 高尾の紅葉 陰おとす 〃       〃
杉の香の 溢るる町や 冬の鵙 〃       〃
縁台の 落葉の大傘 三千院 〃       〃
新しき 形の飾りを売る 書店 12月20日    丸善



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